企業規模に応じた2つの認定枠

認定は、企業の規模によって2つの部門に分かれています。1つは「中小規模法人部門」、もう1つは「大規模法人部門」です。

さらに中小規模法人部門の中でも、特に優れた企業には「ブライト500」という上位認定が与えられます。これは中小企業にとって、企業価値を高める大きなチャンスになります。

認定されると何が得られる？

認定されると、公式ロゴマークの使用が認められ、自社サイトや求人票などで「健康経営に取り組む企業」としてアピールできます。経済産業省や日本健康会議の公式ページに社名が掲載されるため、信頼性の高い企業としてのイメージ向上にもつながります。

認定はゴールではない

健康経営は、一度認定を取って終わりではありません。重要なのは、従業員の健康課題を日々見直し、改善していく姿勢です。実際に健康経営に取り組んでいる企業では、従業員の満足度や定着率が向上し、業務効率アップにもつながるという好循環が生まれています。

健康経営優良法人の認定取得は、手続きや要件が複雑に思えるかもしれませんが、段階的に準備を進めることでスムーズに認定を取得できます。

参考資料：健康経営優良法人認定制度（経済産業省）

次のセクションでは、認定取得までの具体的な流れをわかりやすく紹介します。

ステップ1：健康経営に関する基本方針を定める

最初に必要なのは「自社がなぜ健康経営に取り組むのか」という方針を明確にすることです。経営層のコミットメントを示し、社内に共有された指針を作成することで、次のステップでの評価対象にもなります。

ステップ2：健康経営優良法人の申請要項を確認する

認定制度は年ごとに審査基準やスケジュールが若干変わるため、まずは最新の公募要項（経済産業省または日本健康会議のWebサイトで公開）をご確認ください。申請期間や評価項目、必要書類などを把握しておくことが重要です。

ステップ3：健康経営度調査に回答する

申請は「健康経営度調査（自己診断シート）」の提出によって行われ、調査項目は主に以下の5つの視点に分かれています。

• 経営理念、方針
• 組織体制
• 制度、施策実行
• 評価、改善
• 法令遵守、リスクマネジメント

各項目で取り組み内容やデータ、社内施策の有無などを記載します。

ステップ4：申請内容に基づく審査・評価が行われる

提出された調査内容に基づき、日本健康会議が審査を実施します。必要に応じて追加資料の提出を求められることもありますが、原則は書類審査となります。

ステップ5：結果通知と認定マークの付与

審査を通過すると、認定法人として発表され、ロゴマークの使用が認められます。認定は毎年見直されるため、継続的な取り組みと改善が求められます。

認定までに必要な期間は？

準備にかかる期間は、企業の体制や準備状況によって異なりますが、少なくとも3〜6カ月は見込んでおくと安心です。特に初めての場合は、社内体制の整備や施策の立ち上げに時間がかかるため、早めの着手が成功の鍵になります。

形式的な対応になっていないか見直す

調査項目に対して、ただ「実施している」と記載するだけでは評価されにくく、具体性が求められます。

例えば「健康診断を実施」と記載するだけでは不十分で「再検査の受診勧奨率」「有所見者へのフォローアップ体制」なども評価対象となります。

見せかけだけの対策ではなく、実効性のある取り組みが問われます。

申請前の準備期間が足りていない

健康経営の取り組みには、一定期間の実施実績が求められます。

申請直前になって施策を導入しても、数値実績や定着状況を示すのが難しく、評価に結びつかないケースがあります。

最低でも数か月前から、健康施策の実施・データ収集を意識しておくことが大切です。

書類作成や調査項目への理解不足

調査票の質問はやや専門的です。特に「組織体制」や「継続的改善」に関する項目は、自社の取り組みがどのレベルにあるのか自己評価しづらいため、第三者のチェックを入れるのも有効です。

事業規模に合った戦略を選べていない

中小企業と大企業では、取り組める施策の範囲も違います。中小規模法人部門では、手の届く施策を確実に実行し、明確に成果を出すことが重視されます。

無理に大企業並みの施策を模倣するより、自社の実情に合った施策を丁寧に積み重ねることが成功の近道です。

大事なのは準備と実行の中身

健康経営優良法人の認定は、派手な取り組みよりも「地に足のついた実行力」が評価されます。申請書類の整備や制度理解に加えて、社員が納得して参加できる健康施策をどう設計・継続できるかが、合否を分ける大きなポイントです。